ハロウィンに先導したハーメルンの笛吹き男は何処
グリム童話にハーメルンの笛吹き男という話がある。あらすじは、鼠が大量発生したある街で鼠を追い払う仕事を引き受けた笛吹き男が笛を吹いて鼠を川に誘い込んで溺死させたが、約束の報酬をケチった。そこで笛吹き男はその報復のためかしばらくして笛で街の子どもたちを先導してどこかへ導いてそのまま行方不明にした、というものである。
先日、韓国ソウルでハロウィンのために集まった人々が153人亡くなるという痛ましい事故が起こった。
何もこれは韓国だけの問題ではなくどこの地域でも十分起こりうることである。ハロウィンに限らず大量の人間が同じ場所に密集すれば当然のことである。
ところで、なぜハロウィンにこれほど大量の人間が溢れかえってくるようになったのか。ハロウィンなどクリスマスに比べたら世界的に広がるようなお祭りではないだろう。にも関わらず今回のような大惨事が起こったり渋谷のように車を横転させるようなことが起こったりと明らかに人間から正常な思考をなくさせるようなことにまでなったのか。クリスマスでこんなことはまず起こらない。
考えられるとしたら、どこかで先導する人間がいるとしか思えないのである。昨今の日本や韓国の階層社会化は惨憺たるものがあり、特に10代20代は非正規労働者や正社員でも相対的貧困レベルな月給で馬車馬以下な働かされ方をしている。そんな若年層が鬱積した感情を持っていることなんて容易に想像がつく。そんなときに憂さ晴らしできるとなれば真っ先に飛びつくであろう。それがたまたまハロウィンだっただけである。ハロウィンでなければイースターでもトマト祭りでもいいのである。
そうして集まった群衆は、目に見える先導役がいないので好き勝手に騒ぎ始める。そして、数人が騒げば群集心理でさらに周りの人間が騒ぎ出しそれが瞬く間に暴徒化していく。その結果、酸欠状態になって思考が途切れてしまって人がくっつきあいすぎてあのような惨劇になってしまったのだろう。
ハーメルンの笛吹き男はこんな状態を見てさもかし狂喜乱舞しているであろう。何せ、群衆を意のままに操ることがいとも簡単にできたばかりか、自分のては全く汚さずにテロ同然のことまでできたのだからな。
そして、ニュースもこの事件一色である。更に、Twitterはそんなニュースを批判するつぶやきであふれかえっている。誰もかれもが見えないハーメルンの笛吹き男に踊らされている。そして踊らされた群衆はどこへ先導させられるのか